「だれ」次元では,将来システムのコンポーネント毎に,誰(人間・デバイス・ソフトウェア)が,目的・制約・サービスを行うかを割り当てる (p.16)
この前段階の「なに」次元では,サービス(とそれに付随している制約・前提)を記述している.そのサービスを「だれ」が実行をするのかを,ここでは定義する.
あるコンポーネントは,純粋にソフトウェアだけで実行するかもしれない.別のコンポーネントは,人とソフトウェアが協力して実行するかもしれない.
単なる指示ではない場合もある.代替案として要求書に記述されるかもしれない.コスト制約のもとで,案として2つあると.全てを,人が行う場合とソフトウェアで実現する場合.
この要求に基づくシステムの提案者は,コストや期間制約とともに,どちらかを選択する.このことを可能にするために,要求として表現する.
ここまでで,3つの次元を見てきた.「なぜ」・「なに」・「だれ」次元である.
これから作られる3次元空間を考えると,どこから考えるかに順番はないようにも思う.「なぜ」から始まって,「なに」・「だれ」を考えても,「だれ」から始まって,「なぜ」「なに」を考えても,行き着く最後の空間上の位置が同じであれば,構わない.
しかし,KAOS法の場合は,おおむね「なぜ」・「なに」・「だれ」の順になる.
一般に,この順になっているとは限らない.例えば,KAOS法同様に広く知られているi*(i star, アイスター)では,「だれ」から始まる(教科書 1にある簡単な図を示す)
ここでは,人・組織・人工物という「だれ」に相当するアクター(円で示されている部分)が起点になっている.
(nil)
Notes:
- Yu, Eric (September 6, 2011). “i*”. i*: an agent- and goal-oriented modelling framework. University of Toronto. December 17, 2011. ↩