要求のライフサイクル
つまり,要求工学のプロセスは,スパイラルモデルに従って,繰り返しながら,連続的に増えていくと考えることができる(p. 34)
下図が原書に描かれているプロセスの絵になる.Boehmのスパイラルモデルに似ている.しかし,図がスパイラルというだけで,考え方は,Lamsweerdeさんのオリジナルで,意味的には異なっている.
ちなみに,この種のアイデアを,以前はライフサイクルモデルと呼んでいた.他には,ウォータフォールモデル(悪の代表と良く誤解される)がある.しかし,それだけである.ライフサイクルは文字通りに捉えると人生であるから,インスタンス(個々の人,プロジェクト)で考えると,本来モデル化のしようがない.生まれて年をとって死ぬだけである.
ライフサイクルというコトバは,最近では,開発や保守というプロセスを考えたときの,構成要素を指している.例えば,先の Lamsweerde さんの例だと,「問題領域を理解する」というのは一つの構成要素である.これを何回実施しようが,「問題領域を理解する」ことに変わりはない.こういう構成要素だけを定義しておいて,実際のプロジェクトに応じて,配置するというのが一般的である.
ただ,スパイラルは,数学的にも美しい.スパイラルモデルといういい方は,実際に実行する難しさを別にすれば,心地よく響く.
(nil)