誤りと不備
省略は,検出が難しい.しかし,いつでも生じる (p. 38)
ここでは,要求仕様書に存在するかもしれない欠陥についての記述である.誤りと不備から構成される.
欠陥の名前は,原文でも少しくだけた名称となっているので,合わせた(やり過ぎかもしれない).ちなみに,ここで書かれている項目の多くは,Meyerさんの有名な論文「仕様における形式性について」 1にあるものと共通である.くだけた書き方は不謹慎かもしれない.
なお,問題世界・機械世界とあるのは,別の場所では,世界・ソフトウェアとしている.基本的に同じである.「世界」は更に「環境」としている場合もある.これが要求だとすると,下記にも当てはまるか.
省略 | 問題世界の特性を記述していない(目的がない・要求がない・前提がない) |
矛盾 | 問題世界の特性記述に,不整合がある |
不十分 | 問題世界の特性を,十分に記述していない |
あいまい | 異なる解釈を許す書き方をしている |
数値がない | 代替策と正確に比較することができない.或いは,実装した機械を検証することができない |
ノイズ | 問題世界の特性に対して,何の情報も得ることのできない記述がある |
書きすぎ | 問題世界を飛び越えて,機械世界の記述となっている |
ムリ | 指定の予算・スケジュール・開発プラットフォームで実現することは,現実的にムリである |
意味が通じない | 要求仕様書の利用者が,書いてある意味を理解できない |
文書の構造がだめ | 意味的にも視覚的にも,正しい文書の構造となっていない |
先走り | まだ定義していない問題世界の特性を使っている |
深い後悔 | 問題世界の特徴記述のタイミングが遅かったり,気まぐれで書かれている |
修正できない | 特定の箇所を修正しようとすると,要求文書全体に影響がでてしまう |
不明瞭 | 理由・担当・依存関係が不明である |
赤字の項目は,誤り(errors)で,その他は不備(flaws)としている 2.当然,前者の方が問題になる.
(nil)