要求工学分野は,第一に,もちろんソフトウェア工学と関係している.しばしば云われることではあるが,要求工学は,正しいシステムが何かについての工学であり,ソフトウェア工学は,システムを正しく作ることに関係している (p. 45)
ここでは,要求工学が,様々な分野と関係していることを示している.選んでいる分野を見ると,Lamsweerdeさんが教養の人というのが,よく分かる.
以前に,ライフサイクルのところでみた要求工学の四つの象限ごとに説明している(正確には第三象限はなくて,代わりに要求の進化が入っている).ここでは,羅列に留めておく.
問題領域を理解し,情報を引き出す
- システム工学
- 制御理論
- 経営科学
- 組織理論
- 行動心理学
- 社会学理論
- 人類学
- 人工知能
- 信頼性理論
- 性能評価
- 認知心理学
- HCI(Human Computer Interaction)
評価し,交渉する
仕様を決め,文書にする
- ソフトウェア仕様記述
- 形式的仕様記述
要求の進化
- 変更管理
- 構成管理
個人的には,文書化のところで,統語論・意味論・関連性理論を含んだ言語論を入れてほしかった.
KAOS手法は,モデリングを重視する手法だが,他のモデリングとの関連についても記述している.
- 概念モデル
- タスクモデル
- ドメイン知識と人工知能における問題空間
概念モデルというのは,(E)ERに代表されるデータベースのモデル化であるし,タスクモデルは,GOMS(Goal 3, Operators, Method and Slection rules)に代表される人間の行動をモデル化するときに使われる考え方.ドメイン知識や問題空間といえば,意味ネットワークや(情報の世界で云う)オントロジーをすぐに思いつく.有名ではあるが,特定の分野を除けば,それほど普及しているわけではない.
(nil)