この手法(背景調査)の明らかな強みは,後に必要となる基礎的な情報を得られることにある.用いている用語,考慮すべき目的・方針,利害関係者の責任分担状況などである (p. 64)
本節では,情報を入手する対象は文書である.必ずしも,既にあるものには限定されない.必要に応じて新たに取得するものも含んでいる.というより,ほとんどは新たに取得することになる.
様々な方法が提示されているが,一般的な三つの方法の紹介である.
背景調査(2.2.1)
- 組織について,学習する
対象文書例:組織図,ビジネス計画・方針マニュアル・会計報告・重要な会議の議事録,職務分掌等
- 問題領域について,学習する
対象文書例:書籍,調査報告,出版された記事
- 現状システムについて学習する
対象文書例:情報の流れ,作業手順,ビジネスルール,部署間でやりとりするフォームなど
データ収集(2.2.2)
既存文書で不足する情報を集める.例えば,市場に関する情報,システム利用に関する統計情報,性能値,平均的な運用コストなどである.
質問票(2.2.3)
対象者を限定して,質問票に回答してもらう.質問票は,適切な設計が必要で,回答に負荷が掛からないようにする.また,バイアスが発生する可能性があり(回答したい人は回答するが,本当に知りたいと思う人は回答してくれないかもしれない),データの解釈にも注意が必要である.
のちにでてくる概念ラダリングが参考になる.
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