動作する部分的な製品を示すことで,他の人に,その製品の特徴が明らかになる.そうすることで,不十分或いは,失われた特徴を明らかにすることが出来るかもしれない (p.70)
前回の絵コンテおよびシナリオであった.それらは,プレゼンテーションソフトで作った(一連の)絵に相当する.その類比でいくと,プロトタイプは,編集可能なアニメーションとなる.
ソフトウェアには,2つの軸がある.
最初が,機能的プロトタイプか,ユーザインターフェイスプロトタイプかである.
前者では,主たる機能を作り込み,その機能を確認する.後者は,使い勝手の確認のために作成され,使用性を評価する.
次の軸は,使い捨てか,発展的に使い続けるかである.
前者は,あくまでプロトタイプのためにだけ作成する.実際の製品は,別途最初から作られる.後者は,スパイラルモデルに適している.確認をとりながら拡張し,最終的な製品とする.一般的には,前者となる.最終的な製品の規模が大きいときに,規模の影響を最初から見込んだり,それをプロトタイプに含むことは,動くもので確認するという目的から離れるからである.
一般には,プロトタイプを作りつつ,基本的な技術要素についても確認し,そこでの経験を元に最初から作るというのが自然である.
ところで,ハードウェアのプロトタイプは,製品価格の何倍もになる.ソフトウェアはどうだろうか.組み込みシステムの場合は,同様かもしれない.エンタープライズ系だと超えることはない.これは,大量生産するか否かの違いだけかもしれない.以前ほど,ソフトウェアのプロトタイプが話題になることはなくなっている.
ソフトウェア中心のシステムが増えたときに,プロトタイプに対する適切な評価が,コストを含め与えられべきだと思う.しかし,製品ソフトウェアが永遠のプロトタイプでありつづけるのかもしれない.
(nil)