要求に対して,次の項目を評価する.
リスクが低く・衝突の少ない要求か?
また,利害関係者が納得する前提か? (p. 87)
3章は,以前に見た要求工学スパイラルの第一象限に相当する.第二段階である.前章では,様々な技術を用いて,要求を整理した.冒頭のように,その要求を評価し・整理するのが,本章の目的である.おおむね次の4つの部分からなる.
不整合の評価と回避策
先ずは,要求に含まれる不整合を見つける.次にその不整合は如何に回避できるかを考える.
リスクの評価とリスク度の減少
要求に含まれている様々なリスク(安全性・セキュリティ・開発そのもの)を分析し,回避策を検討する.ここでのリスクとは,あくまで要求中のリスクである.プロジェクトリスクに限らないことに注意が必要である.
代替案の評価
代替案を用いて,不整合の回避し,リスク度を減らすことを考える.機能要求としては同一であっても,非機能要求に影響を与えるような代替案を考える.ここでは,非機能要求への寄与度や衝突・リスクを減らすという点から,評価を行う.
開発制約からの(優先度を用いた)評価
最終的に選択した代替案であっても,例えば,プロジェクト制約(日程・コストなど)を吸収できないかもしれない.その場合は,最終的に何を選ぶのかをきめるための,優先度による評価が必要になる.
以上が,3章の概要である.要求のリスクというのは,もちろん普段考えるにしても,それを合理的に(利害関係者が納得出来るように)考えるのは,なかなか難しい.どういう議論を展開するかを楽しみにして欲しい.
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