強い対立および弱い対立は,より一層(解決するのが)困難である.(p.89)
前回は,対立の種類分けであった.大きくは,「衝突(clash)」と「対立(conflict)」と訳し分けた2つのグループがある.対処もこの2つで異なる.
前者は,言葉の問題である.取り決めで済む場合も多く,解決は容易である.同一概念に異なる言葉を使っているのであれば統一する.そのときに,用語集にまとめる.異なる言葉をどうしても使う必要があれば,シノニム(同意語)として,用語集に記載する.
逆に,異なる概念に,同一の言葉を使っているのであれば,用語集にある言葉の定義に従って,適切に使い分ける.構造上の衝突は,単語定義よりは複雑だが,話し合えば解決は可能だろう.多くの場合,(官僚的でなければ)コトバの使い方に利害は絡まないからである.
複雑なのは,対立の場合である.
異なる利害関係者が,それぞれの立場から,要求を出している.単に,文言だけを調整しても解決しない.その要求の理由にさかのぼって,検討する必要がある.
また,非機能要求同士,或いは機能要求と非機能要求の間には,本質的な不整合があるという.以下が例である.
- セキュリティを強化するためのパスワードに基づく認証を行う.このことは,しばしば,使用性の要求と衝突する
- 守秘性とアカウンタビリティ(説明義務)は,衝突しやすい
- システムのスループットに関する性能要求は,しばしば,安全性要求と衝突する
- システムの保守性を増加させようとすると,開発コストの増大につながりやすい
上記の2番目に,最近出会った.
少し前に,都心のホテルの喫煙所にいたところ,ひとりの男性が大声で電話を掛けていた.手持ちぶさたであったし,聞くとはなしにきいていた(夜間静かな場所で,大声でしゃべっているのだから,聞きたくなくても聞こえてしまう).
それは,隠しておきたいって? QAの時間になったら,我々は奉仕者なんだから,全部の質問に答えないといけないんだ.
それが,国民の知る権利というもんだ.
そういうときの「答え方」をおしえてやる.
調査中の事案について,回答は控えさせて頂きます.
ふむ.うまく衝突回避している.
(nil)