SADT(Structured Analysis and Design Techinique)は,企業色があったせいか,日本では余り用いられなかった(もっとも,構造化分析・設計が騒がれたときも,実際に使っている人たちは少なかった).
機械系の人には懐かしい図面風の図を作る.基本的な要素を,以下の図に示す.
入力と出力は,ごく一般的な書き方である.「ラベル」は,ノードの識別子となる.後述するアクティグラムとデータグラムは同じ書き方をするために,ラベルで区別する.例えば,アクティビティを表現するのであれば,Aから始まる識別子をつけ,データであれば,Dから始まる識別子をつける.レベルとあるのは,各ダイヤグラムの階層上のレベルである.構造化分析・設計と同様に,詳細化に従い,複数のダイヤグラムを記述する.そのレベルである.
さて,制御とメカニズムは何か?
SADTでは,2つの図を用いる.アクティグラム(Actigram)とデータグラム(Datagram)である.前者はアクティビティの説明用で,後者は,アクティグラムにでてくる入出力データの説明用である.
制御 | メカニズム | |
アクティグラム | ふるまいを変える | アクティビティの実行者(人・コンピュータ) |
データグラム | データの内部状態を変える | データを保持する機構 |
アクティビティとデータの関係を同じ構造で記載することができる.
90年代にソフトウェア開発プロセスのモデル化がなされたときに,SADTを使って記述したことがある.プロセスはアクティビティの集合であり,記述が容易であった記憶がある.もちろん,プロセスのモデル化は,例外の多さに難しさがあり,図が書きやすいからといって解決はしないのが残念である.
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