今回は,データフロー図である.
データフロー図では,入力データと出力データおよびその変換器ノードによって,全体を表現する.シンプルなモデルで,構造化分析が話題になっていた頃は,よく書かれていた.
シンプルさは,逆にいえば,難しさも伴う場合がある.どのような風にも自由に書けてしまう.一番の間違いは,変換器ノードを機能表現と見なしてしまうことによって生じる.変換器(手法によっては,プロセス)は,データの変換器である.データの変換は,もちろんなんらかの機能には違いない.ただし,あくまで,データとその変換に注目したときに,分かりやすい図とすることが重要である.
機能視点で分割してしまうと,データがあちこち分散する可能性があり,折角のデータ中心の整理が,出来なくなってしまう.
リアルタイム処理用には,Hatley方式とWard方式の2つの記述法が,その後生まれた.こちらは,制御およびその流れを記載するため,機能的視点でも問題はない.
上記は,手持ちのWard法の教科書 1の第一巻である(全3巻).表紙は時代を感じる.しかし,内容は,今でも通用する.進歩しているようでしていないことに,気づく.
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Notes:
- Ward, Paul T. Structured Development for Real-Time Systems: Vol. I: Introduction and Tools. Pearson Education, 1986. ちなみに,Ward氏も共著のMellor氏も,その後別々にオブジェクト指向分析法を提唱している. ↩