さまざまな図式を紹介する本節で,今回対象とするのは,UMLとともに,よく知られるようになったユースケースである.ユースケース図自体は,UMLが定義される前から,すでに存在していた(従って,UMLで定義されているユースケースとそれ以外は区別した方がよいように思う.ただ,今回は図式の紹介なので,あえて区別はしないでおく).
表記法が単純である場合,記述が難しくなるのは,他と同様である.会議スケジュール管理システムにおけるユースケースの例を下記に示す.
原書の例を,少し書き換えている.
重要なのは,(記法の問題で,勘違いをしやすいのだが)ユースケース図もここまで見た他の図式と同様に機能分割しているわけではない.ユースケースとは,オリジナルの定義に従えば,システム境界を流れるイベント列である.あくまで,システム境界をまたぐが否かが問題で,それ以外の要素を含むべきではない.もし,全て記述したいと云うことであれば,他によい書き方は幾らでも存在している.
原書では,ユースケース図を単純すぎるとしている.少し不当な評価にも思う.Cockburn氏により,適切な詳細化方法が提供されている 1.もちろん,UMLのユースケース図という限定をつければ,妥当な評価ではあるのだが.
(nil)
Notes:
- Writing Effective Use Cases, Alistair Cockburn, 1st edition, January, 2000, pages 270, Addison-Wesley Professional ↩